週刊誌の表紙を飾る寿美花代

(パイナップルの女王のあでやかな扮装で素美花代登場)

寿美 どうもお待たせしました

宝田 ハハアー、これはすごい、極楽鳥ですか?

寿美 パイナップルですョ(笑)

宝田 鳥じゃないんですか、こりゃ天然色ですね。(笑)

壽美 たいへんなんですよ。男になったり女になったり。(肩で息をつく)

宝田 ああ、そういえば寿美さんは....男....でしたね。変だな。(笑)

壽美 女ですヨ。(笑)

宝田 いや、弱ったな。役です、男役専門でしたね。

壽美 専門ちゅうことあらしまへんけど、こんな役、久しぶりですねン。

宝田 それじゃ、ボクもこんど宝塚みないといかんな。(笑)

壽美 最近は宝塚もずいぶん変わりましたワ。

宝田 僕はいま、東宝名人会で落語をきいてきたんですが、みせてもらえばよかった。

壽美 いつでもどうぞ。近頃は男のお客さんもずいぶんふえましたヨ。

宝田 そうですかねえ。もっとも人間が宇宙旅行をしようという時代ですからねえ....。

壽美 ほんと、わたしら生きてるうちに、月世界旅行なんかできるやろか?

宝田 学者の推測では千九六七年から七十年くらいまでの間に実現するとかって、新聞にでてました。

壽美 (指をおって)いま六一年やから、あと十年もないんですねえ。(急にガッカリしたように)でも、わたしらお婆ちゃんでロケットなんかに乗れへんナ。(笑)

宝田 どうも気が早いなあー。(笑)

壽美 もっと現実的なほうの話しましょ。宝田さん、ホンコンにいってらしたんでしょ。いかがでした。

宝田 なーんだ。月世界から急にホンコンですか。(笑)そう帰ったばかりですよ『香港の夜』のロケでね。あんがいノンビリしてきました。

壽美 うらやましいわ。わたしもどこかへいってノンビリしたいワ。

宝田 なんかレバーが故障ですって

壽美 えっ?。

宝田 いや、肝臓がお悪いそうで。

壽美 ああ、なーんや(笑)そうです十ニ月から『千拍子』(華麗なる千拍子)にずーっとつかまってますから、ちょっとしんどいです....。

宝田 『過労なる千拍子』(笑)

壽美 落語をきいてきただけあるワ。(笑)

(「週刊平凡」1961年4月26日号より)

 昭和35年頃の宝塚は「華麗なる千拍子」のヒットで湧いていた頃、何度も続演され昭和35年10月の東京公演が芸術祭賞を授賞している。そんな影響でか、このショーで大活躍していた寿美花代が昭和36年4月26日号の「週刊平凡」の表紙を宝田明といっしょに飾っています。 一般大衆誌の「週刊平凡」の表紙にタカラジェンヌが登場するという事は、それだけ「華麗なる千拍子」がヒットしたという事なのであろう。中の「ポケット対談」というコーナーで二人の対談文が載っているので、そのまま掲載しました。36年の4月は東京で「千拍子」の公演中なので、その合間をぬっての対談だったようだ。宝田明が「東宝名人会で落語をきいてきた」といっている。東宝演芸場は東京宝塚劇場の5階にあった。「対談するんだったら落語なん行かないで宝塚見ろよ!」と思うのですが、この文章から、当時も一般的に男性が足を踏み入れにくい場所だったことが伺える。(女性が一人で吉野屋に入れないとか、プロレス観戦しないような感じでしょうか?)表紙の写真では接点のない二人の写真が面白い。見てもいないのに宝田明が「千拍子」のプログラムを手にしている。この頃の宝塚の出版物は写真に着色したような印刷なのだが、この週刊誌の写真はわりとクリアーな感じで、パイナップルの女王の衣装の色や質感がとてもよくわかり、貴重な写真である。     

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